こんにちは、BIZROVEです!
BtoB(企業間取引)のEC需要が高まる中、手軽で高機能なカートシステム「Shopify」でもBtoB ECサイトは実現できるのか?といったご相談が増えてきています。
ShopifyでもBtoBのECサイト構築は可能となりますが、正確には2つのアプローチがあります。今回はそれぞれのメリットやデメリットを整理し、どのような事業フェーズや事業規模に適しているかを紹介します。
BtoB ECサイトの基本情報については以下の記事も参考にしてください。
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1. ShopifyのBtoBアプリで構築する方法
Shopifyは、ECサイトに機能拡張を行うための「アプリ」が豊富に揃っていることでも有名です。アプリの中にはBtoB向けの卸売機能を強化するためのものも豊富に揃っており、それを活用することで手軽に法人向けECサイトを立ち上げることができます。
これらのアプリは高額なプランにアップグレードせずとも利用でき、例えば以下のような機能が通常プランで利用が可能となります。
- 価格設定のカスタマイズ: 取引先ごとに異なる価格を設定
- 専用の注文フォーム: 法人向けの特別な注文フォームを作成
- 取引先認証機能: 取引先ごとにアクセス制限を設ける
Shopifyアプリで構築するメリット
1.初期コストの低さ
Shopifyの基本プランにアプリを追加するだけで法人向けの機能を実現できるため、低コストでローンチができます。特に予算に限りがある中小企業にとっては、経済的な負担を軽減しながらBtoB取引を開始できる点が大きな魅力です。
2. 短期間での導入が可能
Shopifyのアプリはインストールが用意で、すぐに使用を開始できるため、迅速にECサイトを立ち上げることができます。特に、急速に市場に参入したい企業にとっては、大きな時間的なアドバンテージになります。
3. 柔軟な拡張性
初期段階ではシンプルなアプリを使いながら、ビジネスが拡大するにつれてより高度な機能を追加していくことが可能です。成長に合わせて、少しずつ機能をアップグレードしていく事も可能です。
Shopifyアプリで構築するデメリット
1.機能制限と導入時の専門知識
Shopifyのアプリは便利ではありますが、特殊なニーズに対応するためには限界があります。例えば、非常に複雑な業務フローや独自のプロセスが必要な場合、アプリの制約により十分に対応できない可能性があります。また、複数あるアプリの中からどのアプリが適しているのか?というShopifyの専門的な知識が必要になってきます。
2.管理の煩雑さ
複数のアプリを導入すると、それぞれの設定や管理が煩雑になることがあります。BtoB機能の観点では複数のアプリを同時に追加する必要はありませんが、顧客体験向上や販促向けのアプリを同時に導入する場合、管理が煩雑になりすぎないように事前に考慮した上で導入する必要があります。
3.コストの積み重ね
Shopifyの基本プランにアプリを追加する場合、月額費用が発生します。多くのアプリを導入すると、その分コストが増加し、特にビジネスが拡大していく過程でコスト管理が重要になります。月額は数百円から数千円の少額のアプリも多く、アンインストールも即日可能なため、機能開発に比べるとコスパの良さは歴然ですが、コスト負荷が大きくなりすぎないように慎重な導入が必要です。
どのような事業フェーズに向いているの?
ShopifyのBtoBアプリを使用して構築する方法は、以下のような事業フェーズに特に適しています。
- 小規模・中小企業: 初期コストを抑えつつ、全て手作業・営業リソースで対応してる業務をデジタルに置き換え、迅速にBtoB ECサイトを立ち上げたい企業に最適な構築方法といえます
- 既存のBtoCサイトの拡張: 既存のShopifyサイトを活用して、簡単にBtoB向けの機能を追加できるため、既存の顧客基盤を活かしながらBtoBビジネスを始められます
アプリで構築する場合の具体例
アプリでBtoB ECサイトを構築する場合は一部「機能制限」があるとお伝えしましたが、例えば以下のような要件の場合、問題なくアプリで実現することが可能です。
・取引先はECサイトからの事前会員登録制
・承認した取引先のみECサイトにログインして購入が可能
・取引先グループごとに表示する価格(掛け率)を変更
2.Shopify Plusで構築する方法
Shopify Plusとは、Shopifyのエンタープライズ向けに用意されている月額プランの名称で、より高度なカスタマイズ性や強力な機能を提供します。Shopify Plusを使うことで、大規模な法人向けECサイトの運営が可能となり、APIや専用サポートなどを活用して、非常に柔軟なECサイトを構築できます。
Shopify Plusの主な特徴には、以下が含まれています。
- 専用のAPI: 複雑なシステム連携や業務フローの構築が可能。
- カスタマイズ性: テンプレートやアプリだけでは対応できない、より詳細なカスタマイズが可能。
- 大規模なチーム向け管理機能: 複数のユーザーやチームでの管理が効率的に行える。
- 専用サポート: 高度なサポートを受けられるため、トラブルシューティングもスムーズ。
- BtoB ECの基本機能: BtoB取引に特化した機能が多く含まれており、BtoB取引に必要な柔軟性を提供。
BtoB ECに関わる直接的な特徴は「BtoB ECの基本機能が標準で備わっている点」となります。例えば一つ目に挙げたアプリで構築するパターンの「取引先ごとの価格カスタマイズ」などは標準の機能に備わっているため、アプリ追加の必要がありません。
Shopify PlusではBtoB機能が標準で備わっているものの、「BtoB ECを構築するならば必ずShopify Plusを使わなければならない」という意味ではありません。デメリットとメリットを総合的に判断し、選定の指標とすると良いでしょう。
Shopify Plusで構築するメリット
1. 高度なカスタマイズ性
Shopify Plusでは、より細かいカスタマイズが可能です。独自の業務フローやデザインが必要な場合、完全にオーダーメイドの機能を組み込むことができます。例えば、法人向けの個別契約管理システムや、業務プロセスに合った自動化の設定など、非常に柔軟に対応できます。
2. エンタープライズレベルのパフォーマンス
Shopify Plusは、数千、数万件の注文に対応できる高いスケーラビリティを持っています。急成長している企業や、大規模な法人取引を行う企業にとって、このパフォーマンス面の優位性は重要です。
Shopify Plusで構築するデメリット
1. 高額なコスト
Shopify Plusは、基本プランに比べて月額料金が高額です。通常、月額で数千ドル(数十万円)の費用がかかるため、予算に余裕のある大企業やエンタープライズ規模の法人向けに適しています。小規模な企業にとっては、コストがネックとなる場合があります。
2. 開発・運営の複雑さ
Shopify Plusは非常に強力ですが、その分設定や運用が複雑になることがあります。多機能であるため、運用側に専門的な知識や経験が求められる場面も多く、運営チームのスキルが重要となります。
3. 過剰な機能になることがある
大規模な企業には最適ですが、小規模な企業には機能が過剰である場合もあります。必要な機能だけを選択することが難しく、コストと機能のバランスを取るのが重要です。
どのような事業フェーズに向いているの?
Shopify PlusでのBtoB ECサイトの構築は、以下のような事業フェーズに特に向いています。
- 大企業やエンタープライズ企業: 高いパフォーマンスやカスタマイズ性、専用サポートが必要な場合
- 急成長している企業: 売上が急増している場合や、多店舗展開を予定している企業
- 複雑な業務フローを持つ企業: 特殊な業務プロセスやBtoBに特有の要件を持つ企業
3.まとめ
「Shopifyのアプリを使用して構築する方法」と「Shopify Plusで構築する方法」、それぞれに特徴とメリットがあります。アプリを使用する方法は、コストを抑えつつ迅速にECサイトを立ち上げたい企業に適しており、Shopify Plusは大規模な企業や高度なカスタマイズが求められる場合に最適です。自社の事業規模やフェーズ、求める機能に応じて、最適な選択肢を選ぶことが重要です。それぞれの方法の特長を理解し、最適な道を選んで卸売事業のEC化を成功へとつなげましょう!
ACROVEではShopifyを活用した方法に限らず、BtoB ECサイト・卸売ECの構築についてのご相談をお受けしております。
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