こんにちは、BIZROVEです!
ブランドサイト(コーポレートサイト)とECサイト、どちらも大事だけど「分けたほうが良いの?統合したほうが良いの?」と迷う方も多いのではないでしょうか?
最近では両者をまとめて一つのサイトにする企業も増えていますが、それが良いことばかりとは限りません。
ブランドの世界観を伝えたいのか、それとも商品をスムーズに買ってもらいたいのか、目的が違うからこそ、どう組み合わせるかは慎重に考えたいところです。
今回は、それぞれの特徴や統合するメリット・デメリットをわかりやすく整理し、実際の事例も交えてご紹介します。ぜひ、自社に合った最適な方法を見つけるヒントにしてください!
ブランドサイトとECサイトの違いとは?
まずは、両者の役割や目的について整理しておきましょう。
ブランドサイトとは?
ブランドサイトは、自社の世界観・価値観・ストーリー・思想などを顧客に伝えるためのプラットフォームです。具体的には以下のような役割を持ちます。
- ブランドのコンセプトや歴史、ミッションの発信
- ブランドストーリーやプロダクト開発の背景を伝えるコンテンツ制作
- ファンとの関係構築(SNS・メールマガジン誘導など)
- メディア掲載情報やブログ、コラムの掲載
- 採用やパートナー募集ページの展開
「買う前の接点」を強化し、ブランドへの共感や関心を高めるのが目的です。
ECサイトとは?
一方のECサイトは、商品を購入してもらうための販売拠点です。以下のような要素が重視されます。
- 商品一覧・詳細・カート機能
- キャンペーン・セール訴求
- UI/UXの最適化(カテゴリ分類、絞り込み、検索など)
- 会員管理、決済、配送、在庫連携
- レビュー・Q&Aなど購買支援情報
「買うための導線」を磨き、売上を最大化するのが主な役割です。
ブランドサイトとECサイトを統合するメリット・デメリット
メリット①:ユーザー体験の一貫性が高まる
ブランドサイトとECサイトを別々にしていると、商品に興味を持ったユーザーがわざわざ別ドメインに遷移する必要があります。統合すれば、情報収集から購入までの導線がシームレスになり、ユーザー体験が大きく向上します。
メリット②:SEO効果が集中する
サイトが統合されることで、コンテンツの量や質が集約され、検索エンジンからの評価が高まりやすくなります。ブランドストーリーやコラム記事で流入を増やし、そこから商品ページへの遷移を促す設計は、コンテンツマーケティングと非常に相性が良いです。
メリット③:運用・更新コストが一本化できる
サイトを分けていると、それぞれに更新作業・分析・改善が必要になります。統合すれば管理するURLやデザイン、CMSの構造も統一でき、業務効率化に繋がります。
デメリット①:設計やリニューアルに高い専門性が求められる
ブランドイメージと購買導線を一体化させるには、デザイン、導線設計、UI/UX、システム開発すべてに高いレベルが求められます。特にブランド側からの情報発信と、EC側のコンバージョン設計をどう両立させるかが大きなハードルです。
デメリット②:既存ユーザーの混乱や離脱リスク
すでにファンがついているブランドサイトやECサイトを統合する際、UI変更やURLの変更が混乱を招く可能性があります。一時的なアクセス減やCVR低下は覚悟すべきです。
統合しないメリット・デメリット
メリット①:それぞれの目的に特化した施策を展開できる
ブランドサイトでは世界観を重視したビジュアルやコンテンツ設計、ECサイトでは売上重視のUI最適化など、役割分担が明確にできる点が最大の利点です。
メリット②:見込み客やメディア接点を増やしやすい
ブランドサイトは、まだ購買意欲の低い「潜在層」に向けたコンテンツを柔軟に展開できます。記事コンテンツや特集ページを用意し、ブランドへの共感から商品理解へと育成する導線を組むことで、将来的な購入につながります。
デメリット①:ユーザーが迷いやすく、離脱の原因に
商品情報を見にきたユーザーが、どちらのサイトにアクセスすればいいか迷う可能性があります。Google検索で両方のサイトが表示されたとき、誤ってブランドサイトに入り直帰するなど、CVR低下や機会損失に繋がるリスクがあります。
デメリット②:SEOや運用が分散し、非効率になりやすい
コンテンツや更新をそれぞれのサイトで行う必要があり、人的リソースも分かれます。またドメイン評価も分散するため、SEOの恩恵を受けづらくなる点も見逃せません。
統合を検討する際の判断軸
以下のような視点から、統合の可否を判断していくとよいでしょう。
- ユーザー導線:検索やSNSからの流入後、購入までのステップが自然に設計されているか?
- コンテンツの質と量:ブランドサイト側のコンテンツがSEOやファン化に貢献しているか?
- リソース:統合によって運用工数が増えるのか?それとも効率化につながるのか?
- フェーズ:立ち上げ期か、成長期か、認知拡大フェーズか?
- 体制と目的:マーケティング・開発・CSなど部門間で統合に対する合意形成があるか?
統合をおすすめする企業・統合しないほうがよい企業【比較表】
観点 | 統合をおすすめする企業・ケース | 統合しないほうがよい企業・ケース |
---|---|---|
ビジネスモデル | D2Cブランド/ストーリー性の強い商品 | 仕入れ型EC/SKU数が非常に多いサイト |
フェーズ | ブランド立ち上げ~認知拡大期 | 売上拡大フェーズ/販路拡張期 |
顧客導線 | 検索・SNSから商品理解と購入を同一ドメインで完結させたい | ブランド認知層と購買層の導線が大きく異なる |
コンテンツの強み | ストーリー・開発背景・インタビュー記事などでの集客が主力 | 商品軸でのSEOやキャンペーン訴求が中心 |
サイト構成 | 商品点数が少なく、世界観重視のデザインが求められる | 商品点数が多く、UIの最適化・検索性が重要 |
運用体制 | マーケ・制作・開発が一体で動ける小〜中規模チーム | ブランドチームとEC運営チームが別部署で独立している |
システム要件 | CMSとカートを一体で構築可能(例:Shopifyなど) | 業務基幹・倉庫・他EC連携など複雑な要件がある |
統合した企業の事例
BEAMS(ビームス)

2016年にオフィシャルサイトとECサイトを統合。ブランドコンテンツをページ上部に大きく配置し、世界観の訴求と購買導線を自然に繋げたデザインが特徴。購買に直接訴求せず、読み物を楽しむ感覚でブランドを体験し、そこからECへと移行させています。
統合のポイント:
ブランドコンテンツと購買機能の融合
ページ上部でブランドをPRするコンテンツを掲載し、その後にECページを配置することで、自然な流れでの購買を促進しています。
スタッフによるスタイリング提案
販売スタッフが提案するスタイリング画像や動画をECサイトに掲載し、ユーザーは自分に合ったスタイリングを参考に商品を選ぶことができます。
顧客データの統合
店舗とECの顧客データを統合し、ポイントサービスの相互利用を実現するなど、顧客体験の向上を図っています。
UNITED ARROWS(ユナイテッドアローズ)

2017年に統合。ブランド発信していたコンテンツをEC上に配置し、まるで店舗で接客を受けるような体験をEC上で再現。統合によって「メディア×コマース」の先進事例として注目されました。
統合のポイント:
ブランドコンテンツと購買機能の融合
各ブランドの特集記事やスタッフのおすすめ商品紹介、ブログなどのコンテンツがECサイト内に統合され、ユーザーは商品情報とブランドストーリーを一つのサイトで閲覧・購入できるようになりました。
SNSとの連携強化
各ブランドのFacebook、Twitter、InstagramなどのSNSアカウントから発信されるコンテンツが「ソーシャルウォール」として集約され、SNSで紹介された商品をそのままECサイトで購入することが可能になりました。
検索機能の強化
検索補助サジェスト機能を導入し、ユーザーが欲しい商品情報にたどり着きやすくなりました。ブランド名や商品カテゴリーを入力すると、関連する商品やアイテムの候補が表示されるようになっています。
スタッフによるスタイリング提案の強化
販売スタッフが提案するスタイリング画像や動画がECサイトに掲載され、ユーザーは身長や年齢、店舗などで検索し、自分に合ったスタイリングを参考に商品を選ぶことができるようになりました。
ABCマート

既存のECサイトにブランドコンテンツを加える形で統合。段階的な導入により、既存ユーザーの混乱を避けながらブランド体験を強化。実店舗との連携を強化したオムニチャネル戦略の一環として行われました。
統合のポイント:
ブランドコンテンツの導入
既存のECサイトのフッター部分にブランドサイトのコンテンツを導入し、ブランドイメージの強化を図りました。
オムニチャネル戦略の推進
店舗とECサイトの在庫情報を共有し、オンラインでの購入後に店舗での受け取りや返品が可能となるなど、顧客の利便性を高めています。
ポイントシステムの統合
公式スマートフォンアプリを刷新し、実店舗とオンラインストアで共通ポイントがたまる会員証機能を実装しました。
統合を成功させるポイント
EC支援を通じて様々な業種・フェーズの企業に携わってきました。その経験から見えてきた統合の成功ポイントを以下にまとめます。
- コンテンツ→購買の流れを可視化する
統合の際には、ブランド記事やストーリーからどうやって商品詳細に遷移し、購入へとつながるのかを明確に設計することが大切です。 - 「ECファースト」ではなく「顧客ファースト」設計にする
売上に直結しないコンテンツも、顧客との関係性を深める重要なタッチポイントです。数字だけで判断せず、顧客接点を育てる視点を忘れないようにしましょう。 - 段階的な統合・A/Bテストを活用する
一気に統合するのではなく、一部機能や特定カテゴリから統合を進めて反応を見るなど、段階的なアプローチも有効です。
まとめ
ブランドサイトとECサイトは、役割も目的も違います。ブランドサイトは「好きになってもらうため」、ECサイトは「買ってもらうため」の場所です。だからこそ、両方をうまく組み合わせるか、それぞれ分けて運用するかは自社の状況にあわせて考えるのが大切です。
統合するとユーザーにとって使いやすくなったり、管理が楽になったりといいことも多いですが、一方で設計が難しかったり、今までのファンが戸惑うこともあります。逆に分けておけば、それぞれに特化した強みを活かせる反面、運用やSEOの効率が落ちることもあります。
大事なのは「お客様の目線に立って、ブランドの世界観と買いやすさのバランスをどうとるか」を考えること。そして、いきなり全部変えずに少しずつ試しながら進めることも成功のポイントです。
ACROVEでは、ブランドサイトと統合されたECサイトの構築を支援しております。
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