こんにちは、BIZROVEです!
ECサイトを運営していると、日々の売上やアクセス、CVR(コンバージョン率)などの確認は欠かせません。ただし、多くの現場で起きているのが「とにかく毎日数字をまとめているけれど、それで終わってしまう」という現象です。
ExcelやCSVで売上データを開き、毎朝似たような集計作業をしてレポートを作る——レポート作成がゴールになっていませんか?
昨今、AIを活用した分析ツールが急速に登場しています。とくにShopifyユーザーにとっては、標準搭載のShopify MagicやSidekickの進化が目覚ましく、分析や意思決定のスピードを劇的に上げてくれます。
本記事では、Shopifyで使える「AIがサポートするECストア分析ツール」4つを厳選してご紹介。
BIツールほど高機能でなくても、“今すぐ気づける・動ける”環境を手に入れたいEC担当者に向けて、おすすめのツールとその活用法を解説していきます。
ストア分析の現在地
EC市場は成熟し、ただ商品を出せば売れる時代は終わりました。
いま求められているのは「データに基づいた運営」です。
Shopifyの運営者も、週次・月次の数字を見てなんとなく判断するだけでなく、具体的な改善点・優先順位・顧客インサイトを導くことが成果につながります。
そこで注目されているのが「AIストア分析ツール」。
とくに以下のような悩みを抱える事業者にとって、導入のメリットは非常に大きいと言えます。
- 数字は見るが、どこに注目すればいいかが分からない
- 顧客がなぜ離脱するか、仮説が立てにくい
- 忙しくてレポート作成や分析に時間をかけられない
生成AIによるストア分析とは?従来との違い
従来のECサイト分析では、担当者がGoogle Analyticsや各種ダッシュボードを使ってデータを手動で確認し、グラフを作成して報告資料をまとめ、週次・月次でレビュー会議を実施するのが一般的でした。
しかし、こうしたアプローチにはいくつかの課題があります。
- 人間の目では偏った視点になりがち:毎回同じ指標だけを見る“慣れ”が生まれ、異変に気づきにくくなる
- マンネリ化による見落とし:週次/月次レビューはルーティン化し、新たな気づきや示唆を得にくくなる
- 工数の重さ:データ抽出・集計・整理・レポート作成に時間を奪われる
ここに生成AIの分析が加わることで、ECサイト上に蓄積された売上・在庫・流入・顧客データなどをもとに、AIが自動で分析・要約・可視化することで、運営者は“次のアクションのヒント”を得ることができます。
- 自然言語での質問と応答:「今週の売上は先週と比べてどう?」「広告経由のCVRは落ちていない?」などを文章で聞くと、AIが数値と背景要因を解釈して答えてくれる。
- 異常値や変化の自動検出:人の目では見逃しやすい数値の上下やトレンドをAIが検知し、アラートを提示。
- 売上要因の特定:「なぜ売れたのか」「なぜ落ちたのか」を流入元・キャンペーン・商品別など多角的に解析。
- 顧客行動の可視化:サイト上でのユーザーの動きや購入経路、離脱ポイントを可視化し、改善のヒントを得られる。
- 情報収集と要約の整理:必要な情報を1つの画面に集約し、見るべき指標を見やすく表示。
つまり、「人間の判断を支える第2の視点」としてAIを活用することで、担当者の「考える」時間を最大限に確保し、数字の羅列に埋もれることなく本質的な仮説思考や改善施策の検討に集中できるようになります。
従来の分析が“確認と報告”で終わっていたのに対し、AI分析ツールは“気づきと行動”へのトリガーとして機能するのが最大の違いです。
AIストア分析ツールで何ができる?
AIツールは、単に「レポートを自動で作ってくれるツール」ではありません。
ストア運営における分析とは、売上や流入数、リピート率といった数値の羅列ではなく、その背後にある「なぜ」の構造を把握することです。AIはこの「なぜ」を考えるためのヒントを、人間の代わりに大量のデータから探し出し、整理し、伝えてくれます。
たとえば:
- よく見落とされがちなページのCVR低下を指摘してくれる
- 商品の回遊状況を可視化し、UXの改善点を提示してくれる
- 顧客のRFM分析からLTVが高いセグメントを明らかにしてくれる
つまり、運用者が意思決定に集中できるように“分析の準備”を整えるのがAIの役割です。人間が考えるべきところと、AIに任せるべきところを切り分けることで、意思決定のスピードと質が大きく向上します。
主要4ツールの比較:Shopifyで使えるAI分析・支援ツール
Shopify Sidekick

https://www.shopify.com/jp/magic
対話型アシスタント。ストア運営の伴走者
Shopify公式がリリースしたAIアシスタント。自然言語で質問するだけで、売上や商品ごとの分析、注文処理、テーマ変更などを支援してくれます。
- 特徴:
- チャット形式で操作・分析支援ができる
- 「今月の売れ筋は?」「在庫が減っている商品は?」なども対話で確認可能
- 数値の変化に対する理由や提案もAIが行う
- 向いている人:
- データを読み解くのに自信がない初心者
- 忙しくてダッシュボードを開いている暇がない運営者
メリット:Shopifyとの統合性が抜群で、初心者でも扱いやすい
注意点:より高度な分析(コホートやLTV計測)は外部ツールが必要
Peel:Retention Analytics

https://apps.shopify.com/peel-insights?locale=ja
顧客の維持に強い、LTV分析特化型ツール
Peelは、顧客ごとのRFM分析やLTV、リピート行動の傾向を可視化するCRM寄りの分析ツール。特にサブスク型ビジネスとの相性が良く、「どのコホートが成長を牽引しているか?」を明らかにします。
- 特徴:
- コホート・RFM・LTVなどの指標に特化
- 自動でダッシュボードを生成(Magic Dash)
- 無料プランでも基本的な分析は可能
- 向いている人:
- リピート売上を最大化したい
- 定期購入モデルやCRM施策に注力している
メリット:LTVベースの経営判断に必要な情報が揃う
注意点:UIは英語。初期設定にやや慣れが必要
Analyzely

https://apps.shopify.com/analyzely-google-analytics-4?locale=ja
Googleアナリティクスの代替にも。集客分析の入口に最適
Analyzelyは、Googleアナリティクス4と統合し、Shopify内の流入やセッション、デバイス別傾向を可視化するツール。初心者でもアクセス解析がしやすくなります。
- 特徴:
- GA4ベースのトラフィック分析をShopifyに統合
- 訪問数・PV・デバイス情報などを可視化
- 月額$19から導入可能なProプランも
- 向いている人:
- GAが難しいと感じている人
- 流入分析をShopify上で完結させたい人
メリット:すぐに基本分析が始められ、ダッシュボードがシンプル
注意点:英語UI。高度な分析にはやや物足りなさも
Googleスプレッドシート × ChatGPT
柔軟性とコスパ最強の分析&改善フロー
Googleスプレッドシートに注文データやアクセスログを出力し、それをChatGPTに読み込ませることで、独自の分析・改善提案が可能になります。
Shopify公式アプリでは物足りない部分や、既存BIツールでは高コストになるケースにも対応できます。
特徴:
- CSVエクスポートされたShopifyの注文/商品データをベースに、ChatGPTが傾向分析や改善案を提示
- 「このデータから改善ポイントを抽出して」「来月の需要を予測して」など、柔軟な指示が可能
- Google Apps Scriptなどと組み合わせれば、定期レポート生成や自動通知も実現できる
- ノーコードでの拡張も可能で、自由度が非常に高い
向いている人:
- 分析軸を柔軟に変えたい運営者
- 固定テンプレではなく、ストアごとの戦略を重視したいマーケター
- アプリ課金を抑えつつ、十分な機能を得たい人
メリット: 自由度が高く、柔軟な分析・提案ができる。コスト効率も抜群
注意点: 初期設定やプロンプトの工夫には慣れが必要。自動化にはスクリプト知識があると便利
どのツールを選ぶべき?シナリオ別・活用
Shopifyの運営者にとって、どのAI分析ツールが最適かは、ビジネスのフェーズや目的に応じて異なります。以下のシナリオ別に、最適なツールを選びましょう。
シナリオ1:初めてECサイトを運営する・データの分析に自信がない
おすすめツール:Shopify Sidekick
EC運営を始めたばかりで「数字が読めない」「そもそもどこを見ればいいか分からない」という方には、Shopify公式AI「Sidekick」が最適です。チャット形式で質問すれば、売上データの取得や商品情報の分析、在庫状況などを自然言語で確認できます。
Sidekickの強み:
- 初心者でも操作できるチャットインターフェース
- Shopifyとの統合で、特別な設定や連携不要
- 売上・在庫・注文データの可視化と提案が可能
選ぶ理由:
「何から見ればいいの?」という状態から、最初の一歩をスムーズに踏み出せます。時間がない事業者にも最適です。
シナリオ2:数字は追えるが、もっと自由にカスタム集計したい・レポート作業が重い
おすすめツール:Googleスプレッドシート × ChatGPT
「月次で売上やアクセスデータをまとめてるけど、手作業でのレポート作成が面倒」「特定の時間帯ごとのCVRなど細かい集計をしたい」といった運営者には、GoogleスプレッドシートとChatGPTの連携が強力な武器になります。
ChatGPTはGoogleスプレッドシート上の関数やフィルタ、グラフの自動生成まで対応可能で、「◯月の平均カゴ落ち率を出したい」「この条件で月別にPVを集計して」など、カスタマイズ性の高い分析ができます。
スプレッドシート × ChatGPT の強み:
- ノーコードで高度な集計・可視化ができる
- AIによる関数自動生成・グラフ提案が可能
- ShopifyのCSVエクスポートデータと連携しやすい
選ぶ理由:
既存の業務フローに柔軟に組み込めて、定型業務の時短・工数削減が期待できます。分析精度も高く、週報・月報作成が劇的に楽になります。
シナリオ3:顧客のLTV(顧客生涯価値)を最大化したい
おすすめツール:Peel
Peelは、LTV(顧客生涯価値)やコホートごとの売上傾向を可視化するのに特化した分析ツールです。RFM分析や定期購入者の行動傾向など、CRM強化に欠かせないデータを自動で可視化してくれます。
Peelの強み:
- リピート分析・LTV・コホート分析に強い
- 自動生成されるダッシュボードで施策判断が容易
- サブスクビジネスとの親和性が高い
選ぶ理由:
LTV最大化を目指すECやサブスク型ビジネスに最適。中長期的な顧客育成に取り組みたい場合に、分析の軸を提供してくれます。
シナリオ4:GoogleアナリティクスのデータをShopify上で簡単に見たい
おすすめツール:Analyzely
Googleアナリティクス(GA)の導入や分析にハードルを感じている方には、Shopify上でGA4データを確認できる「Analyzely」が便利です。面倒なタグ設定を省き、ダッシュボードで流入・セッション・CVなどを視覚的に把握できます。
Analyzelyの強み:
- GA4と自動連携し、リアルタイムでデータ取得
- 見やすいUIで、専門知識なしでもアクセス分析可能
- 月額19ドルの低価格で導入しやすい
選ぶ理由:
「GAは導入したけど活用できていない」「もっと簡単に流入元を見たい」という人に最適。Shopify上で完結するのも魅力です。
最適なツール選びのポイント
それぞれのツールは、「誰が」「何を目的に」データを使いたいかによって、向いているシナリオが異なります。
シナリオ | おすすめツール | 適している運営者 |
---|---|---|
データ初心者 | Shopify Sidekick | まずどこを見ればいいか分からない |
レポートを自動化したい | スプレッドシート×ChatGPT | 分析できるが、作業負担が重い |
LTVを高めたい | Peel | 顧客育成・CRMに注力したい |
流入元を見たい | Analyzely | GAの操作に不安がある |
自社のフェーズと課題を見極め、それに合ったAIツールを選ぶことで、Shopify運営のスピードと精度を一段階引き上げられます。
まとめ
ECサイト運営において、データ分析は不可欠ですが、手間と時間がかかるのが課題です。そこで注目したいのが、Shopifyストアで活用できるAI分析ツールです。本記事では、「今すぐ気づける・動ける」をコンセプトに厳選した4つのツールを紹介しました。
重要なのは、自社の課題と目的に合ったツールを選ぶこと。AIはデータ分析の効率を高め、新たな気づきを与えてくれますが、最終的な意思決定と行動は運営者自身が行うものです。AIを賢く活用し、データに基づいたストア運営で更なる成長を目指しましょう。
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